アメリカがフセインを打倒した真の理由 ①

ジョージ・W・ブッシュ前大統領による悪の枢軸発言では、イラク、イラン、北朝鮮は大量破壊兵器を保有するテロ支援国家であると名指しで非難しました。ではなぜイラクだけがターゲットにされたのかを考えますと、それは一見矛盾するようですが、イラクだけが核という大量破壊兵器を保有していなかった点にあるでしょう。

確かイランへは70年代からアメリカ自身が核開発援助をしていたと思いましたが、いずれにしても近い将来イランの核兵器を、NATO陣営に向けて使用させる思惑があるからこそ、アメリカはイランを温存させたのでしょう。それは北朝鮮にもいえる事でありまして、トランプ大統領による事前の北朝鮮バッシングを考えれば、実際の米朝会談での金正恩の倫理観に核廃絶を委ねようとの温さは、やはりイラクと同じように北朝鮮の核兵器を、日露中のどこかに落とさせる思惑があるからだと、私にはそう思えてなりません。

有るものに対する実証とは明白なのですが、無いものに対する実証とは事実上無限大として実証する事はできないのです。その大量破壊兵器を探すには、砂漠の砂粒の一粒一粒をも調べねばならぬという、言葉を悪用させればいかようにもイラク侵略することは出来てしまうのです。

さて、繰り返しますが、イラクだけが核という大量破壊兵器を保有していなかった故に解体されたと、まあそうなのですが、サタニストによる戦略的合理を考えますと、グリコのキャラメルのように一粒で複数の効果を狙ってくるのは当然だといえましょう。

下記は、西部 邁著、「アメリカの大罪」からの引用です。



民主化が反米化につながる皮肉

アメリカの掲げたもう一つの大儀はイラクの「民主化」ということであった。独裁制において、イラクは唯一の国でも最強の国でもない。それなのになぜイラクを侵略するのか、ましてや「民族自決」の大原則を踏みにじってまでそれを強行するのか、誰にとて説明できるはずがない。

それ以上に疑問を感じざるをえないのは、イラクの民主化が実際に進んだとすれば、それには反米への強い傾きが生じるであろう、ということについてである。イラク民衆の6割はシーア派のイスラム教徒だといわれている。そしてその派にイスラム原理主義が多いことも広く知られている。イスラム原理主義は、テロリズムのことも含めて、反米運動の温床だとみてさしつかえない。それもそのはず、その原理主義が敵意を剥き出しにしているのは欧米の近代主義にたいしてであり、そしてアメリカには最も純粋化された近代主義が開花いているのである。

シーア派は、スンニ派と手を結びつつ、すでに占領統治に反対する動きをみせはじめている。その動きは中近東一帯に伏在する反米機運と、遅かれ早かれ、結びつくであろう。しかもそれが宗教がらみの運動であるからには、民主化のただなかから専制化への傾きがまたしても生じるということになりかねない。つまり民主化にあっては、民衆の喝采という可能性が、つねにはらまれているということだ。




西部さんは2003年の7月以前の時点で、すでにイラクにおける民主化とは、シーア派によるイスラム原理主義の高まりであり、その原理主義の矛先には西側という、とりわけアメリカに向けられるであろうと見抜いているのです。そして、その原理主義は、「中近東一帯に伏在する反米機運と、遅かれ早かれ、結びつくであろう」とも見抜いていたのです。

それを私なりに付け加えさせて頂けば、世界統一政府という1つの統治体系には1つの宗教のみが許されると、それ故に、事前に多くの宗教というイデオロギー破壊のために、中東にイスラム原理主義を高めさせる必要があり、その原理主義の矛先には、西側諸国というキリスト教圏が存在しているのです。それもプロテスタントであるアメリカは早晩に中東からフェード・アウトし、NATOというカトリック圏に矛先が向かうようにするでしょう。アラブの春という中東民主化運動にしても、ただ原理主義を高めたに過ぎないでしょう。

余談ですが、プロテスタントの崩壊は最後のほうの段階にて、それはアメリカにおける内戦とまでは行かないものの、それに近い状態で潰して行くものと想定しています。

そして米露会談がおこなわれていますが、おおざっぱにいえば西方教会と東方教会とは、現在ではNATOとワルシャワ条約機構の綱引きであるといえるでしょう。またアメリカはNATOの軍事費を倍にせよとも圧力をかけています。

また現代版ハルノートでもいうべくかの米中の貿易戦争がありますが、アメリカは中国からの輸入製品を他国からでもまかなえるものの、中国のアメリカによる依存度を考えれば、やはりアメリカ有利であり、プロテスタントの崩壊は最終段階に近い状態にて行われると思うのです。また中国の海航集団はドイツ銀行の筆頭株主であるし、アウディーなどのドイツ企業は中国に輸出依存度を高めているではありませんか。

簡単ではありますが、世界のパワーバランスを考えると最後に生き残るのがアメリカで、そのアメリカを昇華させたものが世界統一政府となるような感じがするのです。

陰謀論者いわく、アメリカによるイラク侵略とは、石油強奪とユーロ決済から米ドル決済に戻すのが目的といっていましたね。しかし西部 邁さんの他の著作から考えても、フセインの次の政権が安定的に親米寄りとならなければアメリカはその後、安定的にイラクから原油を調達できないでしょう。またフセインを打倒した事でかえって反米という原理主義が高まったのであれば、フセインを説得することのほうが遥かに低リスクだったのです。

なので再び繰り返しますが、イラク侵略からその後のアラブの春とは、イスラム原理主義を高めて反西側という構図を展開させる作戦だったに他ならないのであり、石油強奪とユーロ決済から米ドル決済に戻すとは、多少は当たっていたとしても、第一の絶対に外せない目的を全くわかっていない間抜けだといえましょう。陰謀論者とて、私以上に世界統一政府を危惧しているのであれば、宗教というイデオロギーの淘汰方法くらいは想定すべきでしょう。なぜなら世界統一政府に許されるイデオロギーは、ひとつだからです。


時間の関係で、実際にアメリカがどう中東からフェード・アウトし、代わりの矛先をどのようにNATOに仕立ててゆくのかを次の記事で書こうと思います。

最後にもう一言いいたのですが、優秀だと自負する陰謀論者達に申したい。所詮は陰謀論などは、フランス革命のように陰謀論革命に過ぎないのです。フランス王室が散財しているだとのプロパンダ的ビラが、ようはインターネットからの情報に代わっただけであり、本質はまったくもって同じなのです。所詮はネット・サーフィンにたまたま陰謀論が引っ掛かっただけであり、真実なんぞはそんなに容易く手にすることなど出来ないのです。

それで私は、その恰も嘘話やトラップばかりのインターネットという大海原を浄化するバイキングであるとの比喩から、インターネットバイキングと名乗っています。

その容易に得た、しかも自身の判断や考察ではなく有名陰謀論者の話を鵜呑みにする、つまりそんな御手軽な手段が真実へと繋がるわけがないのです。それならばまだ、従来型のとは語弊があるでしょうが、西部 邁さんのような考察のほうが遥かに誠実といえるでしょう。

この記事へのコメント

お茶処
2018年07月17日 20:05

バイキングさん新スレお疲れ様デス。

そもそもサダム・フセインはアメリカの後ろ盾でイラクの為政者となったワケデスからアメリカを裏切る事自体自身の地位を危うくする行為デス。

故に湾岸戦争・イラク戦争からのサダム・フセイン処刑という一連の流れはシナリオありきの「プロレス」で当の本人はどこかで余生を過ごしてるかもデスな。そう言やリビアのカダフィ氏の遺体とされる方の顔立ちも何か変デシタよねw

そして為政者の居なくなったイラクは混沌の坩堝と化し「奴ら」の台頭を招きマシタ。そう、「IS」デス。まーこいつらを台頭させるために一連の流れが実行されたとも言えマスしまた劣化ウラン弾やらバンカーバスターやら「全ての爆弾の母」やら無人攻撃機やらの実験場という側面も有りマシタ。

折しも現在再びイランへの経済的締め付け(アメリカからの各国へのイラン産原油禁輸の呼びかけとか)が厳しくなるなど不穏な空気が漂ってマスが全てはバイキングさんの述べるイスラム教勢力と欧州キリスト教勢力の衝突への仕込みに過ぎマセンわな。


インターネットバイキング
2018年07月17日 21:25
お茶処さん

ISはCIAがつくったとの話もありますが、ようは誰が設立させようがイスラム教を背負っているとの印象があれば良いでしょうね。ISは中国製の携帯電話をつかっているそうですが、中露から支援されるイスラムという構図があれば良いのです。
お茶処
2018年07月18日 00:51

バイキングさん曹操もとい葬送おっとどっこい早々のレス恐れ入りマス。

資源収奪がアメリカの中東戦略の狙いだったならば何故アメリカはシェールガスやらシェールオイルを開発する必要があるでしょうか?イラク一国レベルでも世界の消費量の1/4レベルの産油量があるにもかかわらず。

だから巷間の陰謀論者は「マヌケ」だとワタクシやバイキングさんに指弾されるのデス。

「実効支配出来ていない」から?

いや、「敢えてしない」が正解デス。中東、分けてもイラクという広大な土地の「タガ」を外せば現在に至る混乱状態が生まれるのは想定出来たでしょう。

サダム・フセインもISもCIAという「アメリカの組織」では無く更に上の「国際金融家」勢力の実動部隊の弄する「オペレーション・アル=カーイダ」の一部であると理解すれば中東情勢に於けるアメリカの不可解な行動パターンも容易に理解出来マスわな。

「武器商人のデモンストレーション」もある意味間違いでは有りマセンが「売って儲ける」為では無く「アチラ側の最終的支配体制に於けるツールの実地試験」の色合いが強いデス。

例えば「戦闘薬」。

兵士の理性・良心の働きを奪い只命令の儘に働かせる薬。

コレを応用すればやがて世界に君臨するAI世界大統領の下す判断に人類は決して逆らえナイでしょうね。敬謙に「真実の神」の存在を認識している方以外は。


インターネットバイキング
2018年07月18日 06:15
お茶処さん

さすが鋭いですね。シェールガスは次の記事にのせる予定でした。

また仰るように敢えて取らないのです。といいますかフランスなどのNATO陣営が奪いに行くように仕向ける算段だと、この線が濃厚でしょう。

この記事へのトラックバック